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テーマは『Materials for Space Quality』
SAMPE Japan 先端材料技術展2023 ブース制作裏話

プレスリリースなどでもお知らせしていますが、カーボンフライでは、日本ユピカ株式会社様と共同で『CNTハイブリッドプリプレグ』を開発しました。プリプレグとは、成形品の中間材料となる帯状の複合材です。当社製CNTフィルムと日本ユピカ様の樹脂【CBZ】を使うことで、金属や炭素繊維と比較し、軽量・高強度・高生産性を実現しました。実際にこのプリプレグを使って製造したコンポーネントを大学の超小型衛星プロジェクトに納品し、軽量化したうえで、規定の振動・衝撃試験に合格しています。

ここではこの画期的なプリプレグのお披露目にあたり、クリエイティブの面からアプローチしたことをお伝えします。

私たちはこのプリプレグのお披露目の場所として、炭素材料をはじめとした新素材に関心の高い方の集まる『SAMPE Japan 先端材料技術展2023』(2023年11月29日(水)~12月1日(金)東京ビッグサイトにて開催)を選びました。

このプリプレグは、モビリティ・スポーツ用品・建材など、将来的に軽量化を目指すあらゆる成形品に活用できると考えています。しかし、今回は初お披露目。実際に衛星用の振動・衝撃試験に合格したことから、宇宙のような過酷な環境にも耐えうる素材であるということにフォーカスすることにしました。

そして、選んだテーマが『Materials for Space Quality』

今回は日本ユピカさんとの共同出展ということで、敢えて2社のカラーを隠し、このテーマを全体に掲げ、宇宙空間を想起させるようなブースを目指しました。

まず、当社オリジナルの軌道エレベーターヴィジュアルをアイキャッチとして大きく使用しました。このデザイン自体はCNTが軌道エレベーターのテザー(ケーブル)を実現できる唯一の素材と言われていることから製作したものですが、プリプレグ化することで、ステーションやクライマーの構造体にも使うことができるようになるという想いで、日本ユピカさんのロゴも加えて掲げた特別仕様にしました。

ブース全体宇宙空間をイメージしてデザインするため、パネルも一般的な長方形ではなく、惑星を模して丸くしました。

長尺であることを上部看板で表現

CNTプリプレグがまだ流通していない背景には、CNTのみでフィルム化できる高品質のCNTを製造できる企業が限られ、かつ量産が難しいことがあります。当社では今回、100mを製作しました。この大きな一歩を、どのように伝えたらいいか。炭素繊維のプリプレグと同じようにロールに巻かれている状態で展示するだけでなく、この連続性としなやかさをもっと目立たせたい!

そこで、上部看板にプリプレグをドレープ状に飾ることにしました。施工会社の方にも装飾品ではなく製品自体を垂らすという難易度の高いオーダーに協力いただきました。予め枠を組んでもらい、展示会前日、現地で私たちも立ち合い、設置にあたりました。

布とは違いハリのある素材かつ台紙がついているので、実際に垂らしてみないと見え方が分からなかったのですが、想像よりも綺麗にドレープを出すことができ、一安心。

これによって、期間中お客様に説明するときも、「この長さ全てCNTフィルムを使っているんですよ」と上を指さしながら説明することができました。SAMPE Japanに来場される方々は先端材料へのアンテナの高い方々がたくさんいらっしゃいましたが、「CNTフィルムってこんなに製造できるところまできているんですね」とプリプレグを見上げながら感激してくださいました。

CNTハイブリッドプリプレグ自体、自信をもってお見せできる製品になったと自負していますが、それをブースでうまく伝えることができた結果、優秀展示賞をいただけたのではないでしょうか。

ディティールに意味をもつクリエイティブの力を信じ、今後も発信(邁進)していきます。